教育研修基礎理論−分類整理 畑 彩土
アトキンソンの達成理論
アトキンソンの達成動機づけ理論
アトキンソンは、研究の焦点を「個人差」にあてたという点で、他の理論家たちと異なっている。アトキンソンの達成動機づけ理論は、ミラー(Miller)の葛藤モデル(conflict model)から影響を受けた。達成志向行動は、接近傾向と回避傾向間の葛藤の結果として生じるものであるとアトキンソンは考えている。
すべての達成関連行動に関連するものとして、成功の可能性(結果的には誇りという情緒が伴う)と失敗の可能性(恥といった情緒が伴う)があげられる。これらの予期される情緒の強さは、個人が達成志向活動に接近するか回避するかどうかを決めることになる。つまり、達成行動は、成功願望と失敗恐怖との情緒的な葛藤の結果であるとみなされている。

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達成要求 :成功へと努力しようとする比較的安定した、あるいは永続的な傾性を意味している。アトキンソンは達成要求のことを「達成したときに誇りを体験できる能力」であると定義づけた。つまり、達成要求は、感情傾性なのである。 |
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成功確率 :手段的な行為が目標に導くであろうという目標への認知的な期待あるいは予期のことをさしている。アトキンソンがこの概念を用いたのはトールマンの初期の分析から導かれてのことであった。トールマンはある反応の後に報酬が与えられると、反応すれば報酬が得られるだろうという期待が形成されることを主張した。成功確率の大きさを操作するのに用いられるストラテジーは、
与えること。「あなた方の年齢と能力を持つ学生の□%の者が、 これらのパズルを解くことができます」 幾人かの被験者には、賞を得るためには他の一人だけに勝つよう 努力することと告げ、他の被験者たちには、君らは と競争していると告げた。 ら離れて立てば立つほど、主観的な成功期待は低くなると仮定さ れる。 るパズルの数が異なる小冊子を受け取った。そこでは、これらの課題で成功すると認知したパーセントが成功確率を決定した。 |
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成功の誘因価 :アトキンソンはエスカロナとフェスティンガーの合成された誘意性理論を手がかりとして、成功の誘因価は成功確率と逆比例の関係、 すなわち、 成功の誘因価=1−成功確率 と仮定している。したがって、成功の誘因価は、成功確率が低くなるにつれて増 大することになる。アトキンソンは、達成目標の誘因価は、「達成したときの誇 り」と呼ばれる一種の感情であると主張している。より大きな誇りは、やさしい課 題よりも難しい課題で成功したあとに経験それるものであると論じられている。 例えば、やさしい科目で「A」を取ったときに感じる誇りよりも、この成績をむず かしい科目で取ったときに感じる誇りの方が大きいであろうる同様に、スポーツで 弱いチームよりも強いチームと対戦して勝った場合には、強い快的な感情が経験さ れるはずである。 |
−失敗恐怖−
達成に関連した活動は、過去の成功的達成やそれによって感じた誇りのために“正の感情予想“を喚起するだけではなくて、過去の失敗や経験した恥から学んだ”負の感情予想“をも喚起するのである。このように、達成に関連した場面では、失敗の恐れと成功の期待といった両者が喚起されるのである。
アトキンソンによると、失敗の恐れ、すなわち達成課題を回避しようとする傾向を規定する要因は、成功願望の規定要因と類似していると考えられている。

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失敗回避動機: 成功願望が、達成したときに誇りを体験できる能力として考えられているように、失敗回避は、目標が達成できなかった(失敗)ときに恥を体験できる能力であるとみなされている。 |
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失敗の確率と誘因価: 達成活動の回避には、2つの環境要因が影響している。それらは、失敗の確率と失敗の誘因価である。 失敗の誘因価は、“恥”といった不快な感情であると仮定されている。この恥は、むずかしい 課題での失敗よりもやさしい課題で失敗した時の方が、一層大きく経験されると考えられてい
る。 したがって、 失敗の誘因価=−(1−失敗の確率)と考えられる。 さらに、アトキンソンは、モデル上の2つの確率をあわせると1になる 成功の確率+失敗の確率=1と仮定している。
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−合成された達成動機づけ−
達成志向活動に接近するか、あるいは回避するかの最終的な傾向は、課題への接近傾向の強さから回避傾向の強さを引いたものであると仮定されている。
つまり、


ここで、
成功の誘因価=1−成功確率
失敗の確率=1−成功確率
失敗の誘因価=−(1−失敗の確率)
失敗の誘因価=成功確率
であることを代入して、交換すると、

成功動機と失敗回避動機の間には相関は見られないので、行動を規定する個人の要因にこの2つの自由度がある。しかし、環境側の4つの決定因においては、自由度はわずかに1つである。したがって、成功確率の値が決まると、成功の誘因価、失敗の確率、失敗の誘因価の強さが数字の上で決定される。しかし、これらの4つの変数すべてかが、行動の決定因であると考えることができるかどうかは、議論の的である。
−達成行動の重複決定因−
合成された達成動機づけが高いとされるこのような動機パターンを持つ人は、機会が与えられると、達成に関連した活動へと接近するであろう。一方、合成された達成動機づけの低いタイプの人は、達成関連活動へは接近しないであろうと考えられる。
しかし、学校へ通って勉強したり、仕事に励んだりというように、大多数の人がある達成に関連した活動を行っているのは明らかである。このことは、合成された達成動機づけの低い人に予想される達成を回避する行動とは、明らかに矛盾するものである。しかしながら、達成志向活動は、必ずしも達成要求を満足させるために始められるとは限らない。動機づけのもとになるものは、罰を避けるとか、力を得るとか、あるいは親和傾向を満足させるとかであろう。
このことは、行動というのは色々なものが重複して決められており、ある一つの行動は多くの動機づけから引き起こされるということを意味している。このような達成行動の重複決定因を明らかにしようとして、アトキンソンは、達成活動を行なおうとする究極的な傾向は、合成された達成志向傾性の強さに、達成要求そのものと本来無関係(外在的)であるが、その状況の中で生じた他のすべての傾向の強さが加わって決定されるものであることを、次のように明らかにしている。
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達成行動=課題志向活動への接近回避傾向×外在的動機づけ
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したがって、このモデルは、課題達成回避傾向>課題達成接近傾向タイプの行動を説明できる。そのような行動は、達成とは無関係な動機づけの原因に貴族される。これらの外在的動機づけの強さも、おそらく他の動機の強さ、目標への期待の程度、誘因価の関数であると考えられる。
■ アトキンソンのプロフィル
A
tkinson,John William
1923年ニュージャージーに生まれる。
ウェズリアン大学にてマクレーランドの指導で、人格研究、1947年卒業。
ミシガン大学でレヴィンやヘップの心理学を学び、1950年達成動機の研究で学位取得。
ウェズリアン大学の卒業成績が優秀なため、学位取得以前にマクレーランドのあとをうめるため助教授となる。
1950年代には、レヴィンの要求水準にもとづいたモチベーション理論、1960年代には、バーチとの共同研